新井で鳥坂葡萄を作っているみよちゃんは
葡萄仕事が一段落すると
「一年のご褒美に」と言って泊まりに来てくれる。
今回そのみよちゃんが持ってきてくださったお土産が
まるで、山からの贈り物のように、あまりに素敵で、
言葉もなく受け取った。
「もう本当に最後で、葡萄棚を整理しながら、それでもと思って採ってきた」
と言って大切そうに抱えてきた箱には
今とったばかりのような葡萄の葉。
その葉を開けば
色とりどりの、宝石のような葡萄たち。
世の中には溢れるほど、高価できらびやかなお菓子や、
列に並ばないと手に入らないものが沢山あるだろうけれど
こんなに心のこもったものを頂いて、
胸がいっぱいになった。
ひと粒たりとも残さない、
そんな気持ちでいただく葡萄。
「来年も頑張るつもりです、よろしくお願いします」
という言葉に、思わず手を握りしめ
うんうん、と頷いた。
来年の、みよちゃんの鳥坂葡萄を楽しみにしながら
季節が巡るのが待ち遠しい。